(バリ島観光記)

(ヨウコの話)


第4章 ヨウコの話

ヨウコ(仮名)の話しは、私にとってバリ最大の事件だった。ここでヨウコは、どんな女かを語っておく必要がある。色白のポチャリした細い体の女・細い割に胸のある子で、俗に言うコケティッシュな24歳だった。ヨウコは、高校卒業し就職した。しかし、お茶くみがやで退職し、親にねだって学費を出して貰い、現在アメリカに留学中であると言っていた。 ヨウコの彼氏は、オーストラリアンでデートするために、ムティアラによく来ていた。私は、一人でボーット過ごすために来ているので、他の日本人とは殆ど口を利かなかったし、日本人らしい女が、外人と一緒に来ているな、位の感覚で見ていた。この頃は、もう4回目でホテルのスタッフとも、片言の英語で話すようになっていた。

 数日後、オーストラリアンの彼氏と一緒にムティアラを出ていったのは見たが、翌日一人で戻ってきた。あいにく年末だったので、満室になっていた。ヨウコは、プールでくつろいでいた外人一家の主人らしき男に、丁寧な英語で話しかけ、子供と一緒の部屋に泊めてくれるように頼んだ。

 「OK」とその男は、言った。なかなかやるなと、その時は思った。

数日後、違う男と一緒にいた。何か変と思いつつも、まあいいかと思っていた。数日しての昼時、ポートしていたら

「ハロー」と英語でマディーが話しかけてきた。

「やあ」と答え、片言の英語で話し始めた。(バリ島のホテルのスタッフは、片言の英語は話せる。この英語が、日本人が教科書で勉強した様な英語(豪語)で、結構通じる)しばらく話した後で、ヨウコの話題になり、マディーは

「ブロークン」といいながら、親指と人差し指を離した。(ここで、ヨウコがオーストラリアンと別れたことを知った。)そして、違う男と一緒に泊まっていると、マディーは言った。ふーん、なかなかやるなと思いつつ、話しの感じからは、男女の関係が成り立っているようで、新しい男にねたみを感じた。ヨウコがオーストラリアンの彼氏と別れた理由は知らない。しかし、もう新しい男と一緒にいる。変な女だな、と思いつつ彼女に注目するようになっていった。・

 ただボーっとしている私に、マネージャーとミキーの会話が耳に飛び込んできた。

 「あの女は、娼婦なのかい」

「いいえ、違うわ、日本人の女性は、結構気が多くて、そおいう事は、平気なのよ」とかばう

 

ムティアラの受付と食堂が入っていた建物

 右側に入り口の門が在り左側の方にコテッジが立っていた。朝は、ミキーが正装でお供え物をあげていた。

 いつも花が咲いていた様な記憶が在る。それと、勝手に住み着いている犬には触らないようにした方がいい。飼い犬と違って、ノミ取りシャンプーや予防接種はしていない。

 

ような言い方を、ミキーはした。日本人の私としても、ヨウコには、ちょっと疑問を感じた。(以前のヒンズーの女性は、処女じゃないと結婚出来なかったが、最近は、OKらしい。また、駆け落ちがはやっていて、よその土地へ行って結婚して、暫くしてから戻ってくるのだそうだが、結婚のセレモニーの費用を払えないためで、因みに結婚のセレモニーの費用は、当時で約百万Rpかかるらしかった。)

 ちょっと疑問を感じつつも、男なら尻軽系の女は、好きだと断言したい。まして、色白のふくよかな感じの細い体で胸のある女子は、特にそうだと思う!ヨウコは、新しい外人と一緒に行動していて、いつもアクアのビッグボトルをもっているのが印象的だった。・

 日本へ帰る2日前、テラスでくつろいでいると、ヨウコが近づいて来て

 「日本人の方ですか」と話しかけてきた

 「ええそうですけど」と、ちょっと焦り気味に答えた。

 「お話ししてもいいですか」

 「ええいいですよ」と返事をした。

 ヨウコは、隣のいすに腰掛けた。(テラスにあるいすは、応接セットの一人掛けのいすと同じで、結構リラックス出来る。)

 「日本人の人と話すのは、久しぶりなのですよ」と話しを切り出してきた。

 外人と一緒にいればそうだろうと、内心思いつつも、「そうなんですか?」と答えた。

 ヨウコは、ピンクのホットパンツをはいていて、そのピンクと白い足が強烈な印象として今でも残っている。

「私は、今アメリカに留学中していて、クリスマスの休みでバリに来ているんです」と身の上話が始まった。 今の外人の話題になったとき

「彼は、イギリス人で今はオーストラリアに住んでいて、明日帰るんです。」と言い

 「彼とは、そういう関係じゃなくって、私が、お金がないんで面倒を見てくれるんです」と付け加えた。

 マディーとの話しで、そうでないことは判っていたが「へー、そうなんですか」と返事をした。

 約30分も話した頃、帰りの飛行機の話しになった。

 「アメリカの旅行会社の手違いで、帰りの飛行機の予約が入ってないの、ガルーダに確認したら7日まで一杯で、8日ならOKて言うの、こまちゃているんです。」と可愛い顔して言った。既にピンクのホットパンツの魔法に掛かっていた。

 「大変ですね」と軽く言うと、

 「いつ、帰るのですか」と聞かれ

「5日の夜にかえるのだけど」

 

 室内はこんな感じで、ベットが2つある。ベットには、僕の荷物がのっている。失礼!!

 

 

「良ければ、同室させて貰えると嬉しいですけど」と悪魔のささやきが飛んできた。 内心焦りながらも

「いいですよ」と答えた。

 「これから、彼と食事に行くのですけど、夜の9時頃返って来ます。 荷物もってこっちの部屋に来るけどいいですか?」

 「いいよ」と答えると

 「じゃ、9時に来るからよろしく」と言って、彼氏の部屋に戻っていった。ピンクの魔法に掛かってしまった僕は、 こりゃ大変なことになったなと思いつつも、男としては嬉しいやら、ちょっと不安だったりして、そわそわしていた。

あいも変わらず、ジャックダニエルを飲みつつ、テラスで空想に耽っていた。 しかし、今夜は、ちょっと今までとは違う思いを持って、今のイギリス人の事や前のオーストラリアンの事を考えながら飲んでいると、なにやら男の哀れさを感じた。私の両サイドで蚊取り線香が燃えていた。 ヨウコは、猫的な女なのかなと考えると、男に対する非情さが感じられた。9時になってもヨウコは現れなかった。今晩は、いつもより飲むペースが速くなっていたのだろうか、へろへろ一歩手前になっていて、9時半頃、睡魔に負けた私は、ベットの中に沈んだ。深く深く沈んでいった。 

翌朝、何でこなかったのだろうと思いつつも、何か安心した様な気がした自分が何ともいえなかった。ドアを開けて、ふと下を見ると、燃え尽きた蚊取り線香が蹴られていた。朝食の時、サリーに

「Where is Youko?」と聞くと

 「朝早く、イギリス人と一緒に出ていった」と言った。イギリス人の気持ちが判るような気がした。

 

  ヨウコの話 終わり

 

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