(バリ島観光記)

(商売で来ていた日本人女性の話)


第6章 商売で来ていた女性の話

 

 しばらく、バリ島に行っていないので、バリの事が懐かしくなってなってきて、ミキーは元気にしているかな?! なんて思ったりして、ちょっと仕事に疲れてきた今日このごろだ。最近、水中写真は、なんかこんなもんだなと思うような気もするし、でもまだ自分のスタイルが決まっていないような中途半端な感じがする。もっといろんな水中写真を見たい気もする。某雑誌の巻頭の700ライン印刷でいい写真をもっと見たいという気持ちもある。見てもどこがいいか解らない外人の写真や同じパターンの写真には、ちょっと許して下さいと、言いたいと思う人も多いかも知れないが? インターネットの写真もずいぶん画像が良くなってきて(データ量を増やしてきた)、下手な口絵よりいい写真も出てきた。僕の写真もずいぶん画質を上げたので見られるようになってきたなと、独り言のように画面に向かって”自分を誉めてあげたい”なんて言ったら、酒の肴どころか、他人が見たら…・・

 最近、ケラマの座間味で小野氏がガイドでの写真を撮った。小野氏自信も写真をやるので、僕にとってはいろんな意味で非常にいいガイドになった。いい写真を撮れるかどうかは、ガイド以外に運がある。パリダカール(砂煙をあげる人)と一緒に潜ったときは最悪で、涙が出そうになる。今回のダイビングは、他に客はいなくって、思わずラッキーと思ってしまった。(小野さんゴメン) 4月の沖縄は、お勧め!!

 この頃は、まだダイビングをやっていなくて、ひたすらジャランジャランしたり、バリ島の名所旧跡の観光が主だった。バリ島に降り注ぐ太陽に、ため息をつきながら、コーラを飲んで、本を読む。 ヴェリーグッドだ!!

いつものように、テラスで本を読んでいると、新しく入ってきたボーイが片言の英語で話し掛けてきた。日本人顔のバリニーズで、始めは、何だこいつと思った。

ここで、バリニーズの対日本人感情について記述する必要がある。第二次対戦中日本軍がバリ島を占領し、日本人化教育を行った。米軍は、バリ島には上陸しなかったので、現地の被害はなく、教育と公共福祉(道路等)が残った。バリニーズの感覚は、日本人が教育を残していってくれたで、今でも、当時のバリ島司令官中野中将は、英雄扱いされているが、僕はその時まで、中野中将の名前すら知らなかった。日本人が、数年生活していたということは、ハーフとクオータの存在は、否定出来ない。

「ムティアラは、どんな意味だか知っていますか?」 と日本人顔のボーイが行った。

「知らない」と答えると

「真珠という意味です」

「へー」とそっけなく答えた。しゃべりたくない時は、適当にアイズチだけ打っていれば、そのうち帰ってくれるので、適当に話した。

「大変若くて奇麗な日本人女性がいます」

「へー、どこ」と聞いてしまう自分が好きだ。

「No.19です」

「本当か?」と聞くと

「ナイスレディだ」と答えた。バリニーズの美的感覚には、疑問を持っているのだが、まあいいかと思いつつ、ちょっと見てみたい気がした。明日、日本に帰る予定なので、日本から持ってきたインスタント食品をネタにして、顔でも拝んでみようと思い、食品を持って彼女の部屋に行った。 テラスの前で

「すいません、いますか」と、そこそこの大きさで喋ると

「はーい」と返事があった。どんな、女性が出てくるか、緊張の一瞬である。ドアが開き、黒い顔をしたちょっと細身の女性が顔をだした。

「何か」と軽い口調で彼女が話しかけてきた

「明日、日本に帰るので、よかったらこれ食べて下さい」と言って、インスタント味噌汁等を渡した。

「どうもすいません、ほんとにいいのですか?」

「捨てるのもったいないし、じゃ」と言って、その場を離れた。ここで、彼女に付いて解説をしないと、バリニーズの美的感覚探究ができないので、あえてするが、決して単なる女好きでは無いことをここに明言したい。年は、20代後半、黒く日やけをしていて、ロングの髪が面長の顔にマッチしていた。僕の定説である、日焼けをしていない日本人女性は、どんなオヘチャでももてるという説とは別の角度で検討する必要が生じた。色が黒いということは、同類(同じ人種)としてみている。あこがれではなくてだ!! とすると、新しく入ってきたボーイの好みということになる。ううーんと唸りながらも、研究が一段と深くなった様な気がした。

 帰る日は、何か寂しい気もするし、又仕事もしたくなってくるし、何か不思議な思いに包まれる。(ただし、20日滞在している)

朝食は、ムティアラで済まし、昼はダユーUでとって、テラスでゴロゴロしていると

「こんにちは」と声をかけられた。

「あー、こんにちは」と返事をした。No.19の女性がそこにいた。

「昨日は、どうもありがとうございました」

「いえ、どうしまして」

「今日帰られるのですよね!!」

「そうですよ」 

「いつまでいるのですか?」と軽く聞くと

「来て1週間で、あと2週間います」

「何しに来たのですか」と聞くと

「ええ、生地を仕入れに来ているのです」

「バティックですか?」

「バティックとか色々です」と彼女は答えた。ここで、商用できていることが判った。大体、一人で来ている女性は、ジゴロと遊ぶかとか、要は、エッチをしに来ているケースが多いので、思わず聞いてしまう自分がなんともいえず…。一人で来ていて単に観光という感じの女性もそれなりにいるが、そんな感じの女性は、何か魅力を消してしまっているような感じがする。 遊んでやるぞっていう感じは、色気を感じる。No.19の女性は、ちょうど中間の感じだった。

「バリは、何回目ですか?」

「3回目です」と答えると

「私は、たくさん」と言われ、話に弾みが付いた。しばらく、取り止めの無い話をした。彼女は、草木染めをしていて、福生に店を出している。、冬は染める植物が取れないので、バリに仕入にきている事が分かった。

「毎年、基地の公開があって、お祭りするのです。今度遊びにきたらおもしろいですよ!!」

「へー!!」

「来たら、案内します」と言われ、その気になった。

「これ、店の住所です。 お店に来てください」と言われ、名刺を貰った。

その晩、飛行機で帰路につき、翌朝無事日本に着いた。 また、いつもの仕事が始まる!!

5月頃、彼女の事を思い出し、福生に行った。福生は、お祭りの感じで、いかにも何かがあるって言う感じで人通りも多いいみたいだった。(福生の日常を知らない僕にしてみれば、こんな感じになる。)彼女の店を探した、初めての福生は、簡単でなかった。人に聞いて、やっと探し店に、入った。そこには、バリの匂いとNo.19の女性がそこにいたが、店主としての雰囲気と営業スマイルが彼女を別の人にしていた。

「お久しぶり」と言うと

「すぐに、お店分かりました?」

「少し、迷いました」

「今日来るはずのバイトの子が来られなくて、案内出来ないのごめんなさい!!」と言われ、一人で、基地に行くことになった。

基地に入ると、そこには、110円のバドワイザーとホットドック、そして、アメリカの雰囲気があり、戦闘機等の展示等のアメリカ映画の一シーンが展開されていた。そんな中でも、一人というのは、寂しいもので、ぶらぶら歩いて小一時間ほどで飽きてしまった。

店に戻ると、彼女の仲間らしい6・7人の男女が来ていて、騒がしくなっていた。

「友達」と聞くと

「そうなの」と返事があり、バリ島の話が始まった。

「あなたが帰ってから、すごい女子がムティアラに来たの」

「何がすごいの?」

「ほとんど、裸に近い超ビキニで泳いでいるの」

「へー」といいながら、実は、絶対に見たいと思った。

「プール清掃のボーイの子なんて、プールサイドから離れなくなって、ズート居るの」(マディではない。そのボーイは、4回目のバリにでは、首になっていた。)

「そんなに、すごいの!!」

「ほんとに、すごい露出狂っていう感じ」

「ふーん」と軽くアイズチを打ったが、心底見てみたいと思った。

「その彼女が、明け方、素っ裸でレギャンストリートをヘロヘロになって、歩いていたんだって」

「ええ!!」と思わず声が出た。 福生の女性は、インドネシア語が得意で、町でその話を聞いたみたいだ。(バリ島は、小さな村が点在しているようなところで、噂は、すぐに広まる。)

「その子は、ジゴロと遊んでいてね、数人のジゴロと食事をしていて、食事代も全て払っていたのに、トイレに行っている時に、飲み物に薬を入れられたらしいの」と熱く語った

「かわいそうにね」と軽く言ったが、そんな女は、新宿当たりでも、そんな思いをすると思う?! が、どうでしょうか?

「お金も全部取られて、日本から送金してもらったみたい」とその話を締めくくった。しばらく、色々な話をして、彼女の店をあとにした。 

  商売で来ていた日本人女性の話 終わり

 

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