初めての買い物の話


第1章 バリでの買い物の話

 

  バリ島は、買い物天国とガイドブックによく書いてある。買い物をする場合、まず相手の50%位の価格を言って、約30%位値切れればOKと書いてある本があるが、実は…・・と言いたい。 バリ風のお店で買い物をする場合、値札がほとんど書いてない。店員と交渉して値段を決めなくてはならない。 暇を持て余している人は、丁度いい遊びになるかもしれないと思うが?! 最近は、値札を付けている店もたまに見られるようになった。 (ブティック系は、だいたい付いている。) クタで面白い光景を見た事がある。それは、開店したばかりの店でおこっていた。地元の顔役風男が商品を取り値札を指差して安すぎる、もっと高くしろと店員にいっているのだ。多分、周りの店とのバランスを考えて指導しに来ているのだろうと推測できた。

クタには、スーパーマーケットが2店ある。一つは、今年(‘96年)の4月頃オープンしたマハラニでバリNo.1の様だ。ここは、4階建てのビルで、昔のバリしか知らない人には信じられない新しい世界が広がっている。(スーパーマーケットには、全て値札が付いている)何と!! 日本製品もおいてある。いやー、こんなところで日本製品を手にすると、何だか恥ずかしくなる自分が何とも言えなくなって、いやーどうもと言いたくなる。もう一つは、警察署の向こう側に在る。

 

マハラニデパート

 お勧めのおみあげは、粒胡椒と木箱入りのトラジャコーヒー。店内を歩いてみると、インドネシアの生活状況が分かると思う。(現地のお金持と旅行者相手の商売している感じがするが。)

 

 

私の初めての買い物は、クタのバリ風の店でリーボックのビッグタオルの買い物だった。 店員は、女の子で、笑顔がとてもかわいい子だった。

 「How much is it?」と聞くと。電卓で10,000Rpを表示した。

ガイドブックを思いだし、5,000と打つと、彼女は、9,000と電卓を打った。お互いの値段を交互に表示し、合意するまで繰り返した。結局は、7,500Rpだった。なんか、時間を損したような気がした。ただ気になったのは、私が5,000と打った時に、彼女がにこっとしたことだった。

現地の人も、ガイドブックの値切りを知っていてストーリー通りの交渉したのが数回目のバリ解った。その時は、ガイドブックは、役に立つんだなと思った。

 その時買ったリーボック(偽物)の青いビッグタオルは、不良品で濡れると青い水が垂れた。 日本に帰ってきてから、酢で色止めして2年ほど海に行くときに使っていたが、肌触りの悪さにうんざりして現在は、使っていない。

バリ島の買い物で恐れ入ったのは、デンパサールの美術館に行ったときのことだった。ガイドブックに書いてあったので、クタからタクシーに乗って美術館の前で降り、中に入ると「今日は」とたどだどしい日本語で話しかけてくる青年がいた。

「私はグスティー、学生です」と言った。

 「今、日本語を勉強しています」と続けて言った。

 「へー 日本語勉強しているの?」と聞くと

 「今日ガイドするから日本語を教えて下さい」と言った。

まあいいかなと思い、ガイドをして貰うことにした。 たどたどしい日本語も、学生だと思うとまあいいかなと、おかしい所を直しながら、会話をした。 (「です」が「でちゅう」になるのが、おかしかった。)ひととうり見学し終わって、昼時になったのでガイドブックに書いてあるレストランに行きたいと言うと

 「そこは、高いです。 違う所に行きましょう」とグスティーは言った。

行く途中、デンパサールを案内しながらジャランジャヤラン。

  まあいいかなと思って、5〜6分程歩いた所のバリ風レストランに入った。

 どんな料理があるか、見当も付かなかったので 「料理は、何にするか?」と言った。

 「スペシャルメニューにする」と言うと、グスティーは何かを注文した。 ちょっと此の店は、顔が利く風に

クタの一般的な洋品店

 洗濯すると色落ちするような不良品もあるけど、安いので長期滞在する場合はお世話になっている。結構気に入っているのが、ボケットが沢山付いたBALIと名前の入っている長ズボンだ。バリの気候に合わせてか、薄手の生地で綿100%だ。日本に帰ってきても夏にはいている。

 「なに、飲みますか?」

 「ミネラルウオータ」と答えた。熱帯気候で、日本人が帽子もなしに5〜6分歩くと、水が欲しくなる。 私がデブのせいではない。(そんなには、太っていない)

「アクア ティガ」とグスティーは注文した。 バリでは、ミネラルウオータをアクアというらしい。氷とアクアが出てきて、グスティーは氷の入ったグラスにアクアを注いだ。 私も同じようにしようとすると

「日本人、氷だめ」と言った。 確かガイドブックに、氷は止めた方がいいと書いてあったのを思い出し、生ぬるいアクアを飲んだ。しばらくして、テールスープとご飯物(何だったか正確に記憶はない)が出てきた。料理はまあまあで、初めてのバリでよく食べたなと思った。(3回目位からワルンでもよく食事するため、ここでの食事は、ご馳走の部類に入ったと思う)(ワルンは、日本の昔の駄菓子屋みたいで食事もできる)

 料金は、7000Rp位。(この頃は、1万円で15万Rp位だったと思う)当然に私が、払った。(インドネシアでは、お金持ちが払うのが常識らしい)ここで気になったのは、周りの人が食事中に私をじろじろ見ることだ。又、ガイドブックのレストランは、1人当たり、7,000Rpと書いてあったので、だんだんグスティーを信用するようになっていった。食事の後、デンパサールの鳥の市場を案内され、次はどうするかを聞かれた。

 「このガイドブックの、市場に行きたい」と言うと。 (よくガイドブックに載っている、デンパサールで一番大きな市場を言った。)

 「デンパサールには、4つの(7つだったかも知れない)市場があります。 そこは、高いから良くない。 私が良く行く安いところへいこう」と言った。これまでの成り行きから、グスティーの提案を受け入れた。5分程歩いて、その市場の前で

 「ここでは、日本語を使わないようにして下さい。 私が喋った時だけOKです。 値段は、全部私が交渉します。」と言った。その市場は、2階建ての小さな市場だった。(この時点では、デンパサールで一番大きな市場とは、比べようも無いほど小さいとは、判らなかった。)一階は、食料品、二階は、雑貨を売っていた。グスティーが簡単に説明しながら、市場を案内してくれた。 私は、バティックとコーヒーが買いたかった。気になったのは、ここでも私をじろじろ見る人が多いいことだった。

 

街中にある一般的なヒンズー教の寺院

 

 グスティーに、「バティックとコーヒーが買いたい」と言うと

 「判りました。 こっちにある。」とグスティーは言った。

雑貨を売っている店で、一袋50g位の袋を手にとって

「一つ2,000Rpです。 バリで一番高級なコーヒーです。」と言った。

お土産用に4袋買い、その他(サンバリ等)を買った。 この時点では、バリの物価について全然知らなかったので、こんなもんかなと思いお金を払った。次に、バティックを買いに行った。 ここでも、グスティーが店員となにやら話し、幾つかのバティックを私の前に並べ、「これは、手書きです。 40,000Rp」と言った。 40、000Rpと聞いて、確かガイドブックには、5,000−12,000Rpと書いてあったのを思い出し、でも手書きだし?! なんか高いなと思いつつ、手にとって、店員に向かって

「20,000Rp」と英語で言ってみた。 グスティーを無視するような形で。

 「OK」と即座に返事が返ってきた。 あれれ、と思いいつつお金を払い、市場を後にした。

 「僕の、アパートに来ないか」とグスティーが言ったが、疲れてきたのでクタに帰ることにした。 ベモで帰りたいと言ってベモ乗り場まで送って貰った。

 「このベモは、クタまでいがない。 *****で乗り換えて」と言った。

 ****で乗り換えるのかと思いつつ、三輪のベモに乗ったら、*****を忘れてしまい。 結局は、途中でタクシーに乗り換え、ムティアラコテッジまで帰った。

 グスティーと分かれる際に、感謝の気持ちをこめて、10,000Rpのチィップを渡した。 ムティアラに戻って、サリー(ムティアラコテッジの従業員)にデンパサールで買い物をしたと話したら

 「わたしに見せてみろ」というので、見せたところ

「オオー、ベリイー エクスペンシブ」と言われ、笑われてしまった。だいたい、2〜4倍の値段で買ったらしい。そして、バリで一番と説明されたコーヒーは、普通のコーヒーという事が判った。まあこんなもんかと思いつつ、結構しゃくだった。

デンパサールで一番大きな市場は、2回目のバリの時レンタカーで行った。(2回目にもなると、一人で動けるようになっていた。)駐車場に止めて大きい建物を目指して歩き始めると、現地の女性が話しかけてきて

「Where come from ?」と聞かれ

「コーヒー」と答えると

 

デンパサールで一番大きいマーケット。

 建物の中に小さな店が入っている。マーケットにより異なるが、一階が生鮮食料品、2階が生活雑貨というような配置になっている所もある。

 グスティーが案内してくれた小型のマーケットは、昔から在るようで、木造3階建てだった。

「付いてきて下さい」と言って歩き出した。大きい建物に入った。建物の中は薄暗く何やら漢方薬みたいな匂いがし、危ない映画の一シーンを連想させた。ここで拉致されたらよくあるサスペンス映画だななんて思いつつ女性の後に付いて歩いていくと、小さな売り場の前で止まった。

「ここで買えます」と女性は言った。 そこは、露天の店が古びた体育館の中に商品を広げているような感じだった。商品を見回し

「コーヒーいくら」と店員に聞いた。商品の向こうには、二人の女性店員がいた。

「5000RP」とべらぼうに高い金額を言ってきた。(さすがに2回目となると、大体の相場は分かってきているので)

「じゃいい」と言い立ち去ろうとすると、ガイドの女性が私の腕を抱えて

「ここで買ってください」とたどたどしい日本語で、力強く言った。仕方ないなと思いつつ、商品の値段を聞きながら、粘り強く値切った。問答しているうちに、店員が

「日本円でいくら? 安い 安い」と連呼し始めた。さすがに、ウンザリしてきたので、2万RPくらいの買い物をして、その店とガイドから逃げた。 二度と、この市場に行く事はなかった。

後で分かった事だが、この手のぼったくりは何処にでもいるらしく、旅行者はまともに買い物など出来ないようだ。まして、日本人と言ったら最後で物の値段が現地相場の8〜10倍位になる。一番高いのが日本人、二番がアメリカ・オーストラリア、三番目がオランダ人で……・、最後が中国人らしい。お金持ちは沢山払うのがインドネシアの常識らしい。

これが、私のバリでの買い物の話しだが、手早く買うには、スパーマーケットで買うのが一番だと思う。値段も品質も安定している。バリ風の店で買う場合は、朝一番に買い物に行くことを勧める。ヒンズーの教えで、朝施しをすると、その一日いいことがあると言われているため、朝一番の客には、負けてくれるからだ。

大きな建物の周りにフルーツの露天商がいた。

 ドリアンも売っているが、生物を扱っている場所は、結構強烈な匂いがする。(ドリアンも臭いけど、違う匂いがする。)

 ここでマンゴスチンでも買って食べると南国に来たという実感が湧いてくる。

   あー、それと、インドネシア(バリだけかもしれないが)、嘘をついてもいいという習慣があるらしい。旅行者は、お金持ちというのは、バリ島の常識。余裕があるから旅行が出来る。だから、現地価格で買い物をしようとすると嫌われる。 まあ、多少高くても、日本で買うより安いですから。

  

     初めての買い物の話 終わり


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